2017年5月2日火曜日

タイ語独学は何から始める?初心者が最初の教材を3周する勉強法

タイ語を独学で始めたいけれど、何から勉強すればよいのか分からない。

タイ文字、発音、単語、文法、リスニング、会話。

やることが多く見えるため、教材を何冊も買ったり、動画を次々に探したりしてしまう人もいると思います。

私がタイ語を勉強し始めた頃に行ったことは、もっと単純でした。

音声付きの初心者教材を一冊決めて、同じ内容を3~4周繰り返したのです。

CDを聞き、音声をまねし、例文を音読し、知らない単語を確認する。

一周終わっても次の教材へ移らず、もう一度最初から取り組みました。

この繰り返しによって、難しい話はできなくても、タイでの日常生活に必要な基本的な会話が少しずつできるようになりました。

先に結論

タイ語初心者は、最初から複数の教材を並行して使う必要はありません。

まず、次の条件を満たす教材を一冊選びます。

  • タイ人の音声が付いている
  • 日本語の意味が分かる
  • タイ文字と読み方が載っている
  • 短い日常会話が中心
  • 初心者でも一課ずつ進められる

その一冊を、

  1. 意味を理解して音声をまねる
  2. 答えを隠して思い出す
  3. 場面から自分で言う

という目的の異なる3周で使います。

初心者が最初にすることは「教材を一冊決める」

タイ語を始めると、次のような情報が目に入ります。

  • 最初にタイ文字を完璧にするべき
  • まず会話から始めるべき
  • 文法を理解するべき
  • 単語を大量に覚えるべき
  • 動画をたくさん見るべき
  • タイ人とすぐ話すべき

どれも一部は正しいと思います。

しかし、初心者が全部を同時に始めると、毎日何をするのか決められなくなります。

最初の目標は、タイ語学習の全体を完璧に理解することではありません。

毎日迷わず開ける教材を一冊作ることです。

「今日はこの教材の続きを行う」と決まっていれば、教材探しに時間を使わず、音声を聞いて声を出す時間を増やせます。

私が最初に繰り返した教材

私がタイ語学習の初期に繰り返したのは、水野潔先生の『今すぐ話せるタイ語 入門編』です。

日常生活や旅行で使う短い会話があり、付属音声を聞きながら発音をまねられる教材でした。

私が使用したものは旧版です。

現在は、旧版の改訂版に当たる『今すぐ話せる!いちばんはじめのタイ語会話』も出版されています。

私は改訂版を使って学習したわけではないため、内容が完全に同じだとは書きません。

ただし、出版社の案内では、改訂版も対話形式の基本会話と実践会話を中心に構成されています。

私が実際に使ったもの

『今すぐ話せるタイ語 入門編』
水野潔著・東進ブックス

現在探す場合の改訂版

『今すぐ話せる!いちばんはじめのタイ語会話』
水野潔著・東進ブックス

※以下にはAmazonアソシエイトの広告リンクを含みます。

▶ Amazonで改訂版の在庫と価格を確認する

中古品や旧版を購入する場合は、音声CDやCD-ROMなどの付属品がそろっているか確認してください。

ただし、この記事の目的は、この一冊だけを全員へ勧めることではありません。

自分に合う音声付き入門教材を一冊決め、繰り返して使うことが重要です。

▶ 実際に使ったタイ語独学におすすめの本7冊

なぜ一周だけでは話せるようになりにくいのか

教材を一周すると、「このページは見たことがある」「この単語は知っている」と感じます。

しかし、見れば分かることと、会話中に自分で言えることは別です。

例えば、教材に次の表現が載っていたとします。

タイ文字
ไปไหนครับ

発音表記
bpai nǎi khráp

カタカナによる読み方の目安
パイ・ナイ・クラップ

日本語の意味
どこへ行きますか。

教材を開けば意味が分かっても、誰かが出かけようとした瞬間に、自分から言葉が出てくるとは限りません。

一周目では、文章を見ながら理解できます。

二周目では、日本語や場面を見てタイ語を思い出します。

三周目では、教材を見なくても実際の場面に合わせて言います。

同じ教材でも、周回ごとに行うことを変える必要があります。

1周目|意味と音を理解する

一周目の目的は、すべてを暗記することではありません。

タイ語の音、意味、語順を確認しながら、教材全体を一度経験します。

1.最初に音声だけを聞く

教材の文字を読む前に、一度音声を聞きます。

初心者なので、聞き取れなくても問題ありません。

次の点だけを確認します。

  • どのくらいの速さか
  • 知っている言葉があるか
  • 何人で話しているか
  • 疑問、依頼、返事のどれらしいか

2.タイ文字・読み方・日本語を確認する

次に教材を開きます。

初心者は、タイ文字と日本語の意味だけでは読み方が分かりません。

次の4点をセットで確認します。

  1. タイ文字
  2. 発音表記
  3. カタカナによる読み方の目安
  4. 日本語の意味

ただし、カタカナは補助です。

タイ語の声調、母音の長短、末子音などを完全には表せないため、実際の音声を基準にします。

3.音声の直後にまねる

一文ずつ音声を止め、聞こえた直後に同じように発音します。

最初から速さまで完全に合わせる必要はありません。

次の点を確認します。

  • 音の上がり下がり
  • 母音を伸ばす長さ
  • 文章を区切る場所
  • 語尾の丁寧表現
  • 話し手のリズム

4.意味を考えながら音読する

発音だけを機械的にまねるのではなく、誰が誰に何を伝えているのかを考えます。

一つの会話を3~5回程度、意味を思い浮かべながら音読します。

一周目で完璧にならなくても、次へ進んで構いません。

2周目|答えを隠して思い出す

二周目は、教材を読む勉強から、自分の記憶を使う勉強へ変えます。

文章を見れば分かる状態で何度読んでも、自分で言えるかどうかは確認できません。

日本語を見てタイ語を言う

タイ語の部分を紙や手で隠します。

日本語を見て、対応するタイ語を声に出します。

一字一句同じ文章を言えなくても、重要な表現が出てくれば最初は十分です。

音声を聞いて意味を言う

次は教材を閉じ、音声だけを聞きます。

聞いた直後に、日本語の意味や場面を説明します。

文字を見れば分かるのに、音声では分からない場合は、単語の知識ではなく、音と意味の結び付きが弱い可能性があります。

相手側のせりふだけを再生する

会話教材の場合は、相手の質問を聞いたところで音声を止めます。

教材の回答が流れる前に、自分で答えてみます。

これにより、音読が実際の会話に近づきます。

間違えた部分だけ印を付ける

覚えている文章を最初から何度もやり直す必要はありません。

次の部分だけへ印を付けます。

  • 意味が出てこなかった文章
  • 発音しにくかった文章
  • 音声では聞き取れなかった文章
  • 自分でも使いたい文章

三周目では、この印のある部分を重点的に使います。

3周目|教材の文章を自分の会話へ変える

三周目の目的は、教材を覚えることではありません。

教材で学んだ表現を、実際の生活で使える状態に近づけることです。

場面を見てタイ語を言う

日本語訳を暗記の手掛かりにするのではなく、場面を想像します。

例えば、次のように考えます。

  • 友人が外出しようとしている
  • タクシーで行き先を伝える
  • 店で欲しい物を尋ねる
  • 食堂で料理を注文する
  • 初対面の人へ自己紹介する

その場面に必要なタイ語を、教材を見ずに言います。

単語の一部を自分用に変える

教材の例文を丸暗記した後は、名前、場所、時間、料理などを自分の生活に置き換えます。

ただし、自分で作ったタイ語が自然かどうかは、教材、辞書、タイ語話者などで確認します。

一人で二役を行う

質問する人と答える人を、一人で交互に演じます。

文章を読むのではなく、実際に相手が目の前にいるつもりで行います。

途中で止まった文章が、現在まだ使える状態になっていない表現です。

実際の会話で一つ使う

一課分をすべて使う必要はありません。

その日に練習した表現から、一つだけ実際に使うものを決めます。

タイ人の友人、家族、店員、オンライン講師との会話で試します。

使えなかった場合は、言おうとした内容をミニノートへ残します。

▶ 会話で言えなかった表現を覚えるミニノート勉強法

3周の違いを整理

周回 主な目的 行うこと
1周目 理解する 音声、読み方、意味を確認して音読する
2周目 思い出す 答えを隠し、日本語や音声からタイ語を出す
3周目 使う 場面から言う、自分用に変える、会話で試す
4周目以降 弱点を直す 印を付けた文章だけを重点的に復習する

同じ方法で三回読むのではありません。

周回ごとに、理解、想起、実践へ負荷を高めます。

1日20分で進める勉強例

毎日1時間を確保できなくても、短い時間で続けられます。

時間 行うこと
3分 前日に学んだ会話を、教材を見ずに思い出す
5分 今日の音声を聞き、意味と読み方を確認する
7分 音声をまねて、意味を考えながら音読する
3分 答えを隠して日本語や場面からタイ語を言う
2分 今日使いたい一文を選ぶ

教材を早く終えることより、前日の内容を思い出す時間を入れることを優先します。

一冊を終えたと判断する基準

全ページを一度読んだだけでは、その教材を終えたことにはしません。

次のうち、どの程度できるか確認します。

  • 音声を聞いて場面や意味が分かる
  • タイ文字を見て読み方が分かる
  • 日本語や場面から重要なタイ語を言える
  • 短い会話なら音声に続いてまねられる
  • 教材の表現を自分の生活へ置き換えられる
  • 実際の会話で何個か使ったことがある

すべての文章を完璧に暗記する必要はありません。

一方、ほとんどの文章が「見れば分かるだけ」なら、もう一周する価値があります。

タイ文字はいつ始める?

タイ文字をすべて覚えるまで、会話学習を止める必要はありません。

最初は音声と発音表記を使いながら話す練習を始めます。

同時に、教材に出てくるタイ文字を少しずつ確認します。

タイ文字が読めるようになると、次の利点があります。

  • 発音表記だけに頼らなくなる
  • 似た音の単語を区別しやすくなる
  • 辞書を使いやすくなる
  • 駅名や商品名を読めるようになる
  • タイ語字幕を学習に使える

会話か文字かのどちらか一つを選ぶのではなく、会話を進めながら文字も並行して学びます。

▶ タイ文字はいつから勉強する?会話と並行して始めるメリット

最初の教材を選ぶ7つの基準

確認する点 理由
ネイティブ音声がある 正しい声調やリズムを確認できる
短い会話が中心 初心者でも反復しやすい
日本語訳がある 意味を理解して音読できる
タイ文字と読み方がある 文字が読めない段階でも始められる
日常場面が多い 学んだ後に実際に使いやすい
一課が短い 毎日少しずつ続けられる
自分が見て続けたいと思える 三周するには使いやすさと相性も重要

評価が高い教材でも、文字が小さい、説明が多すぎる、音声が使いにくいなど、自分に合わない場合があります。

書店で確認できる場合は、実際に数ページを見て選びます。

初心者が失敗しやすい始め方

複数の教材を同時に始める

教材ごとに説明方法や発音表記が異なり、頭の中を整理しにくくなることがあります。

最初は主教材を一冊決め、辞書などは補助として使います。

一周するたびに新しい本を買う

新しい教材は新鮮なので、勉強した気持ちになりやすいものです。

しかし、同じ表現を自分で言えるようになる前に移ると、「見たことがあるタイ語」だけが増えていきます。

音声を聞き流すだけ

意味の分からない音声を流しているだけでは、単語の境目や意味が分からないまま残ることがあります。

短い部分を選び、意味を確認し、自分でも声に出します。

カタカナだけを暗記する

カタカナは初心者の補助になりますが、タイ語の発音を正確には表せません。

教材の音声とタイ文字も一緒に確認します。

ノートをきれいに作ることが目的になる

教材の内容を全部書き写すと、それだけで勉強時間が終わります。

ノートへ残すのは、覚えられない表現や自分で使いたい表現へ絞ります。

完璧になるまで次の課へ進まない

一課目を完璧にしようとして、何週間も止まると挫折しやすくなります。

一周目は全体を経験し、二周目以降で弱点へ戻ります。

3周しても話せない場合に確認すること

教材を三周しても会話で言葉が出てこない場合は、回数だけを増やす前に練習方法を確認します。

状態 考えられる原因 改善方法
見れば分かるが言えない 答えを隠す練習が少ない 日本語や場面からタイ語を思い出す
音声では分からない 文字と音が結び付いていない 音声と台本を同時に確認する
発音に自信がない カタカナ中心で覚えている 元音声の直後にまねて録音する
会話になると止まる 一人で読む練習だけになっている 質問への回答やロールプレイを行う
数日後に忘れる 同じ日に集中している 翌日、3日後、1週間後にも思い出す

一冊を3周した後に行うこと

初心者教材を三周すると、自分の弱点が見え始めます。

  • 単語が足りない
  • タイ文字が読めない
  • 音声が聞き取れない
  • 発音に自信がない
  • 会話で言葉が出てこない

この段階で、弱点に合う次の教材や練習を追加します。

最初からすべての教材へ手を出すのではなく、土台を作った後に必要なものを足します。

▶ タイ語を早く話せるようになる独学7ステップ

繰り返すだけでなく、間隔を空けて思い出す

第二言語の学習研究では、答えを繰り返し見るだけでなく、自分の記憶から言葉を思い出す練習が語彙の定着に役立つと報告されています。

また、同じ日に何度も集中して練習するだけでなく、時間を空けて再び取り組むことも重要です。

教材の三周も、短期間に三回連続で読むだけにはしません。

  • 前日に学んだ表現を翌日に思い出す
  • 一課が終わった数日後にもう一度聞く
  • 一周後に最初の課へ戻る
  • 数週間後に実際の場面で使う

というように、忘れかけた頃にも記憶から取り出します。

まとめ|最初の一冊を「見た本」から「使える本」へ変える

タイ語独学を何から始めるか迷ったら、音声付きの初心者教材を一冊決めます。

そして、同じ方法で三回読むのではなく、目的を変えて三周します。

  1. 1周目:音、読み方、意味を理解する
  2. 2周目:答えを隠してタイ語を思い出す
  3. 3周目:場面から言い、自分の会話で使う

教材を一周したときに、新しい本が欲しくなるかもしれません。

その前に、次の問いを自分へ出します。

  • 音声だけで意味が分かるか
  • 日本語からタイ語を言えるか
  • 質問を聞いて自分で答えられるか
  • 実際の生活で使ったことがあるか

答えが「まだ」であれば、その教材にはもう一周する価値があります。

教材を何冊持っているかではなく、一冊の中から何個のタイ語を自分で使えるようになったかを大切にしてください。

私も、最初の一冊を繰り返すことで、タイ語会話の芯になる部分を少しずつ作ることができました。

▶ 今の勉強法が合っているか確認する月1回のセルフチェック